こんにちは、イロタカです。
6月の性を探求する場性を探究する場SEEX 08は、現在国立科学博物館で開催中の「大哺乳類展2ーみんなの生き残り作戦」見学を実施しました。

※動物の性器の写真が出てきます、ご注意ください。
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■SEEX初の理系展示見学
ニューヨークのMuseum of Sexで見た動物の性行為の写真展示がずっと心に残っていた私は、日本で動物の性を扱う展示がないかいろいろ探していました。ただ、なかなか性についての展示というのは見つからず・・・。ある日偶然「大哺乳類展で性器が展示されている」というツイートか何かを見つけたことにより、急きょ大哺乳類展の見学会開催を決定しました。



■セックスミュージアム的注目ポイント
9年前に開催された特別展「大哺乳類展 陸のなかまたち/海のなかまたち」の第二弾として開催されている本展のテーマは「生き残り作戦」。この企画展にはセックスミュージアム的注目ポイントが2つありました。

展示「オスのアピール作戦」
メスヘの求愛アピールやオス同士の競争のために、角や歯をユニークな形に進化させた哺乳類の展示。雄から雌に対するもののみなのか、人間の社会と比較するような説明のされ方がしているのかなど、求愛行動の説明はどうなっているのかを検証してきました。

展示「命をつなぐための工夫」
生息環境に適応した結果、生殖器にも自分のコドモを残すための手段が進化した哺乳類の展示。陰茎骨と子宮の実物展示、胎盤と子宮の説明について見てきました。
みどころ6 命をつなぐための工夫 大哺乳類展2



■オスのアピール作戦
雌雄で形が違う角や歯の展示。実際に飾られている角や歯を持つ動物の動く映像もありました。角なんかはオブジェとして壁に飾られているものを見慣れているせいか、個人的にインパクトはなく・・・(そのために写真も残していませんでした、すみません



■命をつなぐための工夫
当初はペニスの中にある陰茎骨の展示や、子宮のイラスト展示だけかと思っていたのですが、これが意外といろいろありました。

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これは豚の子宮。
当然のことですが、豚にも人間の女性と同じように子宮があるんだなと、哺乳類としての仲間意識を持ちました。








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これは豚のペニス。
子宮の形に合わせてらせん状になっています。
ペニスというのは子宮の形に合わせた形状になっているんだと気付かされます。
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アナウサギの子宮、周りに胎児もいます。あの小さい体にこんなに赤ちゃんを抱え込むのかと思うと、アナウサギのお母さんが神々しく思えてきました。


陰茎骨の写真はガラスにいろんな方の顔が写りこんでしまっていたので、載せないでおきます。是非直接見に行ってください。



■気になった点
このような展示が見られて本当によかった!展示にこぎつけて下さった方々本当にありがとうございます!という感謝の気持ちでいっぱいの一方で、少々気になる点もありました。


1.説明する気があまり感じられない
「命をつなぐための工夫」の性器展示ですが、それまでの展示に比べて説明が小難しく感じられました。例えばこちらは「歯やあごを見比べ」という展示にある説明です。
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そこまで難しい言葉がない、子どものことも考えられた説明という印象です。
これが「命をつなぐための工夫」になると・・・
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急に難しくなっていませんか・・・?
実際、こどもは見ても分からないので、この後ろにあった「コドモの生き残り作戦」という剥製展示に流れていました。大人は結構しっかり見ていたのですが、その情報がこどもに共有されている様子はありませんでした。


2.性別役割規範に対する疑いの余地なし
こちらは見学会参加者の指摘だったのですが、メスが育て、オスが獲物を取るという役割であることを言い切っている説明があったとのことでした。確かに種の繁栄を目的とした場合の戦略としては断言できるのかもしれないけれど、人間にこれを当てはめて考える人が出てくるんじゃないかという懸念がありますという指摘は、博物館展示の難しさを考えさせられるものでした。

私がニューヨークで見たMuseum of Sexの動物の展示は性行為に焦点を当てており、亀のマスターベーション、ライオンのオス同士のセックス、蛇の乱交といった、生殖に直結しない写真展示がありました。

「生き残り作戦」がテーマの大哺乳類展2と、Museum of Sexで扱われる性のこの大きな違い。何がどのような目的の元に展示されていて、そこにストーリーを与えられているかは、注意して見る必要がありますね。


3.大哺乳類展の後の先行研究
国内初のシロナガスクジラ漂着個体の展示が大哺乳類展2の後にあったのですが、ここでクジラのペニスを確認。性別を確認するために、性器を見る作業の説明だったのですが、肉体から切り離されていないペニスはここではじめて確認しました。本当にこそっと展示しています。
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大哺乳類展2の見学を通じて、こどもを意識した博物館の展示において性をとりあげることのデリケートさを感じさせられました。あえて説明しない、でもこっそり展示する、これが性を取り上げるうえでの現時点の妥協点だったのかなと思います。

去年同館で開催されていた「人体の神秘展」では、人間の性は受精以降の話しか出てこず、実物の展示も胎児のみでした。まだ動物の方が、これでも踏み込めたんだと思いました。



大哺乳類展2は今週16日まで開催です!!是非本物を見てきてください。



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性を探求する場 SEEX 09

セックスミュージアム設立準備委員会主催、7月の性を探求する場SEEXは、新宿区立歴史博物館見学です。

新宿の歴史について旧石器時代から現代までを展示している新宿歴史博物館。常設展示では昭和初期、急速に発展した新宿駅周辺の風俗や娯楽と、そこに集まる人々の日常生活を、時代相も含め展開されています。そこには現在NHKにて放送中の朝ドラ「なつぞら」にて言及されているムーラン・ルージュ新宿座の展示も!
区立博物館での風俗や娯楽がどのように歴史として展示されているのか探っていきたいと思います。



参加希望者はFacebookで参加表明をするか、個別にご連絡ください。
  
日時: 7月7日(日) 15:50-17:30
集合場所: 参加希望者に個別に提示
参加費: 一般 800円(入館料300円+運営費500円)
    学生 300円(入館料のみ)


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